icebreakerがお届けする「トランスペアレンシーレポート」についての第8回目では、「ZQRX」やほかの活動を含めて、その先に私たちはどこへ向かうのか、その道を探る。
icebreakerは自社の製品開発プロセスだけではなく、業界全体やコミュニティが関わるより大きな仕組み「ZQRX」プログラムへの参加を通して、動物と人、そして自然環境のことを考え続けてきた。その歩みはどこにつながっていくのだろう? 私たち人類と羊たちの長い旅は、どこに向かうのだろう。
ギブバックしたい
ZQRXの公式サイト(discoverzq.com)によれば、”ZQ”は、”IQ”と”EQ”の両方の意味を兼ね備えた言葉だとされている。”ZQ”とは、つまり、例えば知識や技術といった目に見えるインテレクチュアル(IQ)な活動によって生み出されたものではなく、感情や他者、環境や「これから」への想像力といった、目に見えないもの、エモーショナルな(EQ)感覚を含むことになる。
icebreakerをはじめとしたZQRXに関係する人やコミュニティ、生産者やブランドは、自分たちが研究・開発してきた技術(IQ)を自分たちだけのためではなくて、自分たちを取り巻く地球環境や動物たちのことを想像し(EQ)、自分たちのを取り巻くそういった環境のために活用していこうと努力を続けているのだ。
例えば、ZQRX認証によって生産されるウールそのものに加えて、それを可能にする「土壌」のこれからを考え、具体的に取り組みを行っている。現段階ではicebreakerと協働する生産者のうち34%がすでにウールを生産するための土壌の循環がうまくいっているかをモニタリングする活動に参加するようになった。これからこうしたい、という想像(EQ)が技術やプロセスや知識(IQ)と組み合わさって、具体的な成果につながりつつあるのだ。
私たちと羊の旅は、自分たち人間だけがどこか新しい土地に行く、新しい景色を見る、というだけではなく、その土地のことやそこに住む誰かのことを想像し、誰かのために何かを生み出していくこと、誰かや自然に何かを還していくということを意味するものなのだ。そして、そんな旅はまだまだこれからも続いていく。
「#歩こう」に続く。
Illustration by Akina Haga 2025