icebreakerが発表している「トランスペアレンシーレポート」を日本語で読みとくシリーズ、第9回(最終回)をお届けする。
ロングディスタンスハイキングから、ファストパッキング、登山、ランニングや日常の散歩、あるいは通勤通学、旅行まで、人がどこかへ移動していくそのとき、奇跡は起きない。私たちは、自分の身体や必要な技術を使って、少しずつ歩みを進めた先でようやく、見たことのない景色や懐かしい景色に出会うことができる。「トランスペアレンシーレポート」は、icebreakerのそんな歩みを記録したものだ。
#歩こう
人類の歴史も、ハイキングをする人の歩みと同じように少しずつ進んできた。記録に残る「歴史的瞬間」は、傑出した誰かひとりの人間や「奇跡のテクノロジー」によって、ある日突然魔法のように実現されたのではなく、それに関わる膨大な人の営みや時間の重なって、ある日ある時にようやく形になったものだ。
icebreakerが、1995年に生産者や動物、コミュニティと一緒に歩み始めてから30年が経った。30年という時間は、人間や地球の歴史に比べると一瞬のことだ。これからの30年や、あるいは100年も、歴史や自然の時間のなかではとても短いものだ。けれども、その短い時間、1日1日が重なって、何かが形になる。
icebreakerが活動をスタートしてからの30年で、地球環境はこれまでにないスピードで変化した。いま私たちには、地球環境の変化を、ネガティブなものではなく前向きなものに変化させていきたいと考えている。
icebreakerは、そのためにパフォーマンスアパレルのフィールドで旅を続けていく。その歩みを速めなければならない日も、少し仲間と立ち止まって休む日もあるだろう。私たちはそんなふうにして歩き続けて峠を越え、新しい町へ、懐かしい町へと向かっていく。その場所では、どんな感じがするだろう。私たちみんなが一緒に自然に包まれて、暖かい心地がするだろうか。
icebreakerは、みんなと羊たちの旅の様子をこれからも「トランスペアレンシーレポート」に記録していこうと考えている。日本でも、フィールドで、店舗で、ウェブサイトで、ソーシャルネットワークで、みんなと話しながら、歩いて行きたい。下りも登りも、一緒に愉しく歩こう。
(了)
本シリーズ初回「人類と羊たちの長い旅」に戻る。
icebreaker「トランスペアレンシーレポート」英語版はこちらから。
Illustration by Akina Haga 2025